親族内に適切な後継者がいない場合、親族外の役員や従業員への承継、あるいはM&A等による社外の第三者への承継が検討されます。
この動画では、M&Aによる事業承継のメリットや準備のポイント、注意点について詳しく説明します。
M&Aを活用した事業承継のメリット
_画像.001.jpeg)
M&A活用のメリットとして、第一に事業の継続性を確保できる点が挙げられます。後継者がいない場合でもM&Aによって第三者へ事業を引き継ぐことで、従業員の雇用や取引先との関係を維持することが可能となります。
第二に、企業価値の最大化です。M&Aによる譲受先との融合で、競争力の向上や事業規模の拡大、新市場への進出などが期待できるため、会社のさらなる成長が見込まれます。また、企業価値が高い状態で譲渡することで、十分な利益を得ることが期待できます。
M&Aの準備と手順
_画像.002.jpeg)
M&Aを成功させるためには事前準備が不可欠です。まず、自社の企業価値を正確に算定し、企業価値を高めるための「磨き上げ」を行います。具体的には、財務状況の改善や業務効率の改善、経営体制の整備などがあります。「磨き上げ」を通じて、譲渡価格の引き上げや条件の良い譲受先とのマッチングの可能性が高まります。
準備が整ったら、M&Aのマッチングに向けて動き始めます。具体的な手順は以下の通りです。
_画像.003.jpeg)
1. 支援機関の選定
M&Aの支援機関は得意分野や報酬体系がそれぞれ異なるため、自社の業種やM&Aの目的に適した支援機関を選ぶ必要があります。顧問税理士への相談や実績の調査を通じて、慎重に支援機関を選定しましょう。
2. 企業価値の算定
企業価値の算定方法には、時価ベースの純資産が株式価値となる「修正純資産法」や、時価ベースの資産と負債にのれん代を加える「年買法」等があります。M&Aの対価は、最終的には譲受先との交渉により決定しますが、支援機関などに算定を依頼し、大まかな金額イメージを把握しておくことも有効です。
3. 譲受先の選定
譲渡価格や譲渡の手法、経営の方向性、従業員の処遇など、具体的な契約内容を交渉し、譲受先を選定します。交渉では合理的かつ冷静な判断を心がけ、譲受先候補との円滑なコミュニケーションをはかることが信頼関係構築のために重要です。
4. デューデリジェンスと契約締結
基本合意書を締結した後、譲受先は企業の財務状況や事業リスクを調査する「デューデリジェンス」を実施します。デューデリジェンスを経て譲渡価格の調整や企業価値の再確認を行います。
5. 最終契約の締結及び取引実行
デューデリジェンスを終え、譲渡側と譲受先との間での最終交渉を経た後、最終契約を締結します。最終契約は、具体的な取引手法に応じて株式譲渡契約や事業譲渡契約となります。M&Aでは、最終契約締結後、数週間から数ヶ月の準備期間を経た後、M&Aの取引が実行されるのが一般的です。
代表的なM&A手法
_画像.004.jpeg)
M&Aには、株式譲渡や事業譲渡などの手法があります。株式譲渡は、会社の実質的な経営権である株式を一括して譲渡する方法で、手続きが比較的容易かつ事業の引き継ぎをスムーズに行える一方、過去の負債などのリスクも引き継ぐ可能性があります。
事業譲渡は、事業の一部を譲渡する方法です。事業譲渡の場合、譲渡対象の資産や負債を明確に特定できるため、不要な負債やリスクを引き継がずに済みます。
また、譲受側にとって必要な事業のみを譲渡できるため、譲受先を見つけやすくなる利点もあります。
M&A実施後の注意点
_画像.005.jpeg)
M&Aの成立後も円滑な事業運営を続けるためには、従業員のモチベーション維持や取引先との関係構築が重要です。譲渡後の経営方針や組織体制の変更には、丁寧な説明とコミュニケーションが不可欠であり、譲受先企業の文化や経営スタイルへの理解を深める努力も求められます。
M&Aを通じた事業承継は、単なる資産売却ではなく、企業価値の向上や雇用の維持をはかる戦略的な選択肢です。今後を見据えて準備を進めることが、円滑な事業承継を実現する上での重要な要素となります。